幼い誘拐犯

2/13
前へ
/13ページ
次へ
『昨日、小学四年生の○○さんが帰ってこないとの通報があり、未だ見つかっていません。○○さんは‥‥‥』  一人、薄暗い部屋で履歴書を書いていると、テレビからアナウンサーの声がふと耳に入った。  ーー「誘拐」だろうな。  この類のニュースを聞くと、すぐにその二文字が頭に浮かぶようになった。  男という性別に生まれたおかげで、そういうことにはあまり気を付ける必要も無かったが、女性にとっては日々恐怖なものだろう。  そう他人事のように考えながら、コップを口元に運ぶと、いつの間にか空になっていたことにようやく気が付いた。  何か飲み物は無いかと冷蔵庫までやってきたが、何故か空のペットボトルが冷やされており、おまけに冷蔵庫も空、カップ麺の一つもないことを知り絶望した。  しまった‥‥‥この時間だとコンビニしか開いていないじゃないか。  できれば、あそこには戻りたくはなかったのに。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加