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[7月7日 午後6時22分]
「……いっ……たっ……」
頭に微かな鈍痛を感じながら、私は目を覚ました。
「えっと……確か……」
記憶を辿ってみる。
いつもと同じ学校からの帰り、突然、後ろから口元を押さえつけられ何かを嗅がされた。
そこで、私の記憶は途絶えている。
「ここは……どこ?」
辺りを見回してもこの場所に見覚えはない。
ずいぶんと広そうで華美な洋間。
天井には豪華なシャンデリアが灯り、さながらパーティでも始まりそうな雰囲気だ。
「一体、どうしてこんな所に……」
通学路で襲われた記憶以降がないとなれば、恐らくその人物に連れて来られたと考えるのが妥当だろう。
もう一度よく、周囲を見渡してみた。
すると──
私の場所からちょっと離れた階段の所に、誰かが倒れているのが目に入った。
(女の子?)
すぐさま、彼女に駆け寄ってみる。
「ねっ! しっかりして!」
「……う……んぅっ……」
知らない子だ。
年は同じくらいだろうか、とりあえず気を失っているだけで、ケガもなさそうだ。
「……ここは?」
「良かった、気がついた」
綺麗な子だった。
陶器みたいな白い肌、大きな瞳。
まるで人形みたいだと、私は少し見とれてしまった。
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