第9話 白椿、紅《くれない》に輝いて

2/2
前へ
/26ページ
次へ
男は乳首から鳩尾、腰…秘所に向かって順番に唇を這わせる。 そして左手で女の花びらにそっと触れた。 男はニヤリと笑うと、 花びらに触れた左の人差し指と中指を女の目の前に突き付けた。 男の指は濡れ、雫が滴り落ちる。 「いやっ」 女は恥ずかしさに顔を赤らめ、両手で唇を覆う。 「いやらしい女だ。もう、こんなに濡らして」 男は満足そうに言うと、女の蜜に濡れた手を舐めた。 「ね、早く挿れて。気持ち良くして」 女は恥ずかしそうにおねだりする。 …もう、自分には残された時間は僅かしかない。 一分一秒でも長く、男と繋がっていたかった。 男は、女の気持ちが痛いほど解っていた。 出来るだけ、望むようにしてやりたかった。 自らの熱くそそり立つモノを、女の花芯にそっと突きさす。 「はっ、あっ、あっ…」 女は喜びの声を上げ、男のモノを迎え入れる。 男は一気に花芯に突きさすと、そのまま腰を動かし始めた。 「あ、あん、あぁ、あっあっ」 女は男の律動に合わせ、歓喜の声を上げる。 両足を男の腰に絡め、快楽を貪る。 花芯から蜜が止めどなく溢れ、男のモノを包み込む。 そして花びらをつたって外に零れ、滴り落ちて行った。 男の動きは次第に激しさを増す。 女は快楽で頭の芯が白く霞んだ。 「あんあん、あっサマエル、あん、気持ちいい、 あっ、あんあっあぁあっ愛してる…」 女は今、愛する男に抱かれてこの世の春を謳歌していた。 白椿は、紅の色に染まり、(あで)やかな深紅の椿となったのであった。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

58人が本棚に入れています
本棚に追加