第10話  椿、散花

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「あっ、気持ちいい、もっと、もっと激しく突いて…。あっ、あぁ。奥まで、あ、あん…あなたの愛を、私の中に刻印…あっ、んっ…して…あっあっあん…」  自らの腰を激しく振りながら、女は夢中で声を上げた。男と一体感を味わい、最高の幸せを感じていた。男も激しい快楽と、女との一体感と幸福に酔いしれていた。 「!」男は悟った。時間が切れるその瞬間が来てしまうのを。もうすぐ約束の24時がとうとう、来てしまう。男はその瞬間を恐れていた。出来る事なら、他の魂と引き換えにしてでも、生かしてやりたかった。…しかし、そんな事をしては、女は未来永劫、死する事も、天へ行く事も、転生も出来ぬまま、彷徨う事になってしまう。 「志津音!愛してる!永遠に、お前を!」  サマエルは絞り出すような声で、彼女を抱きしめた。 「うっ、ごぼっ」  志津音は短く呻くと、口からどっと大量の血が溢れ出した。そして力無く、後ろに倒れかかる。サマエルは素早く抱きしめた。 「志津音!」  サマエルは腕の中でぐったりしている彼女に、必死で声をかける。志津音は弱弱しく顔を上げ、笑みを浮かべた。哀しい笑みだった。 「サマ…エル。そのまま、私を貫いたままでいて…。最後のその時迄…愛…して」  小さな擦れた声で、志津音は必死に想いを伝えた。サマエルは、彼女の望む通り体を繋いだまま、しっかりと志津音を見つめ、そして抱きしめた。
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