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「どうやら心当たりがおありのようだ。それがおそらく鍵となる人物でしょう」
そう言いながら木片の山からさらに一つ取り出し、刻まれた文字を確認する。
また少し表情を曇らせる。こういうのが癖の人なのかもしれない。
「……もし、可能であれば」
「な、何でしょう」
「その人に会って、あなたの罪を清算するような行為をすべきでしょう」
「中学の頃の話でして、連絡先どころかフルネームすら覚えてないです」
「であれば、ご友人の伝手やネット検索を駆使してください」
「ううっ、まだまだ青い頃の、しかもたった一度の過ちを今になって清算しろだなんて……」
「心中はお察しします。ですが、他に方法が見当たりません。もしくは男性パートナー探しを止める、というのもひとつの手です」
「ひいいぃやああぁ」
25歳で恋愛や結婚をあきらめざるを得ないとか、ちょっと悲劇すぎて涙が出そうになった。
特別こだわりがあるわけじゃないけど、彼氏や結婚相手、その先の家族と一緒に経験してみたいことがまだまだ山ほどある。
涙目で虚空を見つめる私を不憫に思ったのか、占い師さんがテーブルの下から地図のようなものを取り出した。
「ひとつ、気休めをお教えしましょう」
手にした地図をテーブルの上に広げ、県境辺りの山を指さす。
「この辺りに、再会の願いを叶えてくれるという祠があります。いつ、なんのために建てられたものなのかは不明ですが、オカルト好きの間ではレア度の高いパワースポットとして人気です」
かなり辺鄙なところにあるせいか、まったく聞いたことがなかった。
「裏手に古い井戸がありまして、再会したい人の顔や名前を思い浮かべてコインを投げ入れれば完了です」
思ったよりオーソドックスな祈祷方法に、ほっとしたのも束の間。
「ただし、ひとつ条件があるのです。あなたが過去に『またね』という言葉をその人にかけたことがなければ再会はままなりません」
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