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それは今も変わらず続けてるし、二度と会う予定がなくてもそう言うことにしていた。
2年間もクラスメイトだったのなら、別れのあいさつの一度や二度してるはずなんだけど……。
それは置いておくとしても、とりあえずここからどうやって帰るべき?
全く知らない場所にいきなり飛ばされてくると、動くことすら難しい。一歩踏み出した先で何が起こるかなんてわからないから。
だんだんいろんなことが遠く感じるようになり、不安のあまり涙がこぼれてきた。
こんなとこで暮らすくらいなら、彼氏も結婚もなくたっていい。
だって、命のほうが大事だもの。
もう帰りたいよおおおぉぉ。
うわああぁん、おかあさあああぁぁん。
「ここで何をしている」
背後からの声に、心底驚いて跳ね上がる。
それでも恐怖心と好奇心の両面から、後ろを振り返ってしまった。
「お前は人間か」
「ひいいぃやああぁ」
そこにいたのは恐ろしくデカくてグロい虫のような体に、小さな人間の頭がついた生命体だった。
しかも、背後にはさらにいろんな格好をした、お世辞にも見ていたいなんて思えない面々を大勢引き連れてる。
うん、軽く卒倒しそう。
「どうされたのですか。アポリュオーン様」
薄れゆく意識が、その言葉で一気に引き戻される。
えっ、今、アポリュオーン様って言った?
私の聞き間違いじゃないなら、まさか、この人(?)が。
私の知ってるキャラとは似ても似つかない、というか完全に別の生命体なんだけど……。
「ペーガソスか、見かけぬ者がうろついていたのでな」
「見かけぬもの、とは……」
アポリュオーン様の背後にいる連中をすり抜けて、白い馬のような頭をした人(?)が前に出てきた。
比較的ソフトテイストな外観に、少し安堵する。
ペーガソスと呼ばれたその人(?)は、目線が集まっている私をじっと見つめた。
そして、顔色(?)がみるみる変わる。
「き、君は……! も、もしかして、中根さん!?」
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