約束の代わりに

17/20
99人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
 二人ともテーブルに突っ伏すように頭を下げて、傍から見ると何事かと思うだろう。  しばらくそうして、その後、お互いにそっと顔を上げる。すると、目が合った。  目が合った途端、タイミングを計ったように同時にプッと吹き出した。 「絶対変な人達って思われてるよ、私達」 「だね。……でも、なんかすごくホッとした。長年の胸のつかえが取れたみたいだ」 「……うん、私も」  そう言って笑った後、私は再び仕事モードに戻る。 「文言は社に戻って確認させていただきます。デザインは念のため、北見にも確認を取りますが…私は素晴らしいと思っています」 「ありがとうございます」 「いえ、お礼を言うのはこちらです。本の内容を見事に表現してくださってありがとうございます。……西脇さんにお願いしてよかった」 「…光栄です」 「また、今後ともよろしくお願いします」 「こちらこそ」  これで打ち合わせ終了だ。私は伝票を持って会計へ向かう。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!