同僚的バレンタイン

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『お疲れ!そっちはどう?チョコ、ありがとな。あとの2つは誰から?』  送信。腕組みしてスマホを見つめる。仕事が手につかない。  机の上のスマホがすぐに震える。 『とんでもないほどの件数。一週間で帰れるかな…』  返信。  それだけかよ!!じゃ、ねぇよ!!! 『チョコ、いつものはお前だよな?』  送信。 『そうだよ。いつもありがとね。あ、もう一つは可愛い後輩くんからでーす』  返信。それはわかってんだよ!!どっちだ!? 『どっち?』  送信。 『へ?そんなの表参道に決まってるでしょ!』    返信。あ、良かった…。ん?よくねぇか?いやまだ友チョコとしてなら処理できる気がする。 『もう一つは?』    送信。  軽快なメールのラリーがぴたりと止む。返事がない。なんだ!?  と、そこに着信。 「もう一つは?」 『あぁ、それね…』 「なんだよ、誰から?」 『………私から』  普段は、ハキハキと物を言う奴の信じられないほど小さな声にひやりとする。驚きと恐怖は似ている。心臓が冷えて止まるかと思った。
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