第5章

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「家族が大事………って言ってやればよかったじゃん」 会社の休憩室で電話を受けていた俺は気付いていなかった。隅っこに座り、コーヒーを飲んでいた先輩に…………… 「ごめん………聞いちゃって。出るに出れなくなっちゃって………」 確か俺より1つ上の女の先輩。 てきぱきと仕事をこなす紫(ユカリ)先輩。 名字が佐藤さんで社内にも数名いるため、下の名前で呼んでいた。 「あっ、すみません………ユカリさん、いるのに気付かなくて」 「あっ、私は全然………こっちの方が申し訳なかったわ」 ペコリと頭を下げられた。 「やめてください、頭上げてくださいよ」 「ふふっ、白石くんが悪い訳じゃないのに」
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