第3章

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リーグ戦が終わり、春の大会までの土曜日。 俺は久々に練習試合を見に行った。 ハルが忘れていった水筒を持って。 「あっ、アキ先輩!!」 すぐさま声をかけてきたのはカズ。 「調子どうだ??」 「ん~、まあまあっす…………あっ、今年入った1年の“いっちー”いい球投げるんすよ………ちょっと見て」 俺に新入部員の球筋を見せようとグランドに俺を引っ張り混むカズ。 「ちょっと待て!!これ、ハルの忘れ物」 ハルのピンクの水筒をゆらゆらさせた。 「あっ!!!ハルちゃん、ちょっと具合悪いみたいで………本部で休ませてます」 カズの説明に怪訝な顔になる。 「なんか、貧血!?………たいしたことないって言ってたけど……一応、ソウタ先輩が着いてます」 ソウタ、来てるのか!? 「ちょっと水筒届けながら様子見てくる………ピッチングはそのあと見るから」 カズに告げ、俺たちもよく使っていたグランドの本部に足を向けた。
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