第4章

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自分の思い通りにならなかったことが不満なのかハルはソファーにうつ伏せになり、腕の中に顔を埋めていた。 「どうしたの??ハルも一緒に行きたがったの??」 母さんに問いかけると困った顔で首を振った。 「一緒に行きたかったわけじゃないのよ……タクトくんのお母さんがね、タクトくんとナツを映画に連れていってくれたんだけど………それはハルもちゃんとわかってるの。でもね、さっきまでナツと遊んでいたから………もっと遊びたかったって(苦笑)」 帰ってきてからまた遊べるのに。 「ハ~ル、もうすぐ1年生になるのに…そんなに泣かないの…………何やって遊んでたの??」 声をかけた俺にハルは顔をあげた。 「お絵かき当てっこ」 ぼそっと呟いたハル。 お絵かき当てっこってなんだ??? ハルの言ってることがわからなかった。 そんな俺にノートが置かれてあるテーブルを指差したハル。 そこには、ハルが描いたであろう絵。 そして、その下にはナツ兄の文字であろうひらがな。 尖った耳にひげが書かれ、目と鼻と口。 その下には【ねこ】と書かれていた。 その隣にはハルが書いたであろう【うさぎさん】の文字。 そして……………ナツ兄が書いたと思われる耳の長い怪しい顔の変な物体。 ナツ兄、下手すぎ(笑)
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