3 シルバー

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その後もいつもみたく適当に話して、適当に時間を過ごす。そのまま外に遊びに行く時もあれば、夜遅くなって部屋に戻ったりもするんだけど。 今日は、外に用事があるから。 「ねー今何時ー?」 「十時過ぎだ」 十時か。まだちょっと早い、気もしないでもないが。 「……シルバーが犯行予告、したんだって?」 そろそろ本題に入ろう。 「おー、今日の職員会議でも議題に上がってたな」 「もちろんシルバー自体は犯行声明なんて流すことはしない、よね?」 「当たり前だろ、誰がんなもん出すんだよ」 ですよね。 シルバーはそんなことは絶対にしない。前回と前々回と、そして今日と。それらを流したのは本物のシルバーじゃない。 誰かが、別の何かがシルバーになりすましてそれを行ったということになる。 「場所は」 「バーダン公爵家、そこの宝を頂戴するらしいぞ」 「バーダンって……たいしたもの置いてないだろ」 「強いて言えば、なんか古くからある書物?が貴重で有名なもんらしいぞ」 「なにそれ要らね」 「間違いない」 シルバーは、所構わず盗んでいるわけじゃない。貴重だから、値打ちがあるから。そんな理由で盗みを続けているんじゃないんだ。 譲れない理由があるから、目的のそれを盗む。集めているんだ。
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