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そうして話は本当になんでもない方向へ。
「そういやさ、最近聞かないよな」
「なにがー?」
「ほら、“シルバー”だよ。銀の強欲」
「そういえばそうだね。アイは知ってる?銀の強欲っていう盗賊団」
こっちにふられてドキリとした。
そりゃあもちろん、嫌というほど知っている。一つ頷けば、だよねという声が返ってきた。
「盗んだものは数知れず。狙った獲物は絶対に逃さず、手段は選ばない。人殺しだって平気でするような連中だよ」
「最近じゃ全然聞かなくなったよな。捕まったのか?」
「それだとニュースになるんじゃないの?有名だし」
「あそっか」
「一時期すごかったもんね」
銀の強欲が活発に動いていた時期、指名手配されてその名が知れ渡ったときに、銀からとっていつの間にかシルバーと呼ばれるようになっていた。
シルバーはどこへでも行く。狙った得物が、そこにあるというのなら。
「別の国に逃げたのかなあ?」
「あれは世界規模で手配されている。どこへ逃げても同じだろう」
「なんにせよ、名前を聞かないのは平和な証拠だよ。早く捕まればいいけど」
シルバーは、捕まらない。
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