3 シルバー

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今は眼鏡は外しているけど……まあ本来はそんなものしていないが、この部屋の主は紛れもなく、本日最後の授業で監督していた総合技術の担当、メビアス・アレジー。 元々爽やか顔ではあるが、あの嘘くさい笑みは今は皆無。元々知ってる人間から見たら、絶対教師には思えない。 「でもなんで眼鏡?」 「なんでって、教師っぽいだろ」 「えー、安直……」 「やかましい。バレるよりマシだろ」 まーねー。でも大丈夫だって、あれはバレないわ。ちゃんと教師に見えるし……ぶふっ。 「つーか、お前の方がなんだよあれ」 「あれ?……どれ?」 「ケイラー・ヴィストンだよ」 「あー、メビ初めて見たんだっけ?ど?そっくりっしょ?」 「そっくりどころかお前が二人いるみたいで変な気分だったわ」 「まー、一卵性だからね」 「……聞いてないぞ」 「そだっけ?」 そんなたいしたお話でもないでしょうに。 メビは俺のたくさんいる血の繋がらない身内の一人。俺が拾われた時からずっと一緒に暮らしいている。二十代も後半だからそう年は近くない、だからずっと俺の兄貴みたいな感じだ。世話焼きだしね。 「双子よりそっくりだな」 「あれは二卵性だもんね」 双子っていうのは、今の俺の身内の双子のこと。自分達以外の双子を見たのはあれが初めてだった。似てなくはないけど、俺とケイ程じゃない。あれは中身がそっくりな双子だな。よくハモってる。
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