3 シルバー

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「あれが噂のお前の片割れねえ……」 ソファーは俺が独占しているからか、メビはベッドに腰掛ける。 拾われてからの俺は、しばらく馴染めなくて。ずっとケイ、ケイって言ってた。皆知ってる、俺が五大貴族ヴィストン家に捨てられた子供だって。 俺がヴィストンを恨んでないことも、皆知ってる。 「手、出さないでね」 ちょっとだけ真面目に言ってみる。 ケイのことが大事だって、言わなくても分かってるはずだ。それでも念を押したのは万が一のことがあっては困るから。傷一つつけてみろ、キレるぞ。 離れて暮らしていた分、もっとずっと大事だって思うんだ。誰がケイを傷つけたとしても、俺はたぶん絶対に許せない。 「俺別に男に興味ねえって」 「そっちだけじゃねーよ」 「お前の弟だろ、心配すんな」 「……ちょー可愛いんだよね」 「ははっ、お前もちゃんと兄貴だったんだなあ」 「そりゃあもちろん」 生まれた時から兄貴ですよ、双子でも。家を継ぐのも俺なんだってずっと言い聞かされてきた(主に口うるさいジジイから)。何よりいつも一番そばにいた唯一無二の存在だ。 俺が兄で、ケイが弟。それはずっと変わらない。大事なのも、ずっと。 好きって気持ちも、こういう環境だからなおさら、減ったりなんかしないだろう。
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