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「今回もニセモノだろうな」
「ああ」
「あれでおびき出そうとしてるつもり?」
「どうだろうな。目的が分からん」
誰が、何の目的で。こんな性懲りもなく。
これでシルバーが捕まると思ってんのか。馬鹿にしやがって。
「まあでもさ、」
「ん?」
「そろそろ……売られた喧嘩は買わねえとな」
顔に、笑顔が貼りつくのが分かる。無意識に口角が上がった。
どうしよう、すっごく楽しいな。
「さーんせい」
前の二回は無視だった。誰一人偵察にも行っていなかったし、手も出していない。だけどいい加減にはしてほしいから。
沽券に関わるし。
「そうと決まれば、ささっと服着れば?」
「お前も準備しろ」
「へいへい」
ウエストポーチから、投擲用のナイフを三本、短剣を一本取り出す。
平べったいバッグのどこにそんなものが入るんだ、って思うかもしれないけど、このバッグは魔導具の一種。収納魔法が施されたそれは、見た目と容量は同じじゃない。要するにめっちゃ入る、と。何でも入ってるからねこれ。
縦長のウエストポーチ、そこにはあらかじめナイフがセット出来るような作りになってる。ナイフはそこに。短剣はポーチが垂れ下がっている反対側、右側ベルト部分にセット。
それからそれから、一個の指輪とマントを引っ張り出す。
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