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横には今、ケイがいる。
ずっと離れて、存在すらあやふやで。会えることすら期待していなかった片割れ。
「アーイっ」
ぎゅっと抱きついてくるケイ。
それに俺も満たされる。
「俺は、愛されるために生まれてきたからね」
そう言っておちゃらけて笑って見せれば、ようやく三人も笑顔を見せてくれた。
そう言って、俺に言い聞かせてくれる人がいたから。そう言って、たくさん愛してくれた人がいたから。
俺は、自分の存在を否定しなくて済んだんだ。
「そっか」
「にしてもそっくりだな」
「一卵性の双子に会ったの初めてだ」
「へへへーん」
俺もケイも、それ以上は深く話さなかった。三人とも、深く聞いてこなかったから。
捨てられた。
それだけで分かったんだろう。俺が今まで歩んできた道。ケイの思いも。
いい奴等だと思った。
それはケイの友達だからに他ならない。これからは俺も、友達になれるといいな。
それからは本当にたわいもない話で盛り上がった。
ケイとティナはここで小等部からお世話になってるけど、エイルとリーアは中等部からの編入組だってこと。
エイルはやんわりとしていてまとめ役、リーアは男らしくてお兄さんタイプ、ティナは貴族とは思えないくらい話しやすいし、馬鹿だ。
色んなことが分かった。
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