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俺も辛かった。ケイはもっと辛かったかもしれない。
それでも許してあげて。あの人達は悪くない。大人だっただけなんだ。貴族だっただけだから。
「・・・あっちが謝ってきたら、許す」
「うん、それでいいよ」
「アイにもだからね!」
「そ、それは難しいかな」
「やだ!そこは譲らない!」
「分かったよもー」
これから先何があるか分からない。二度と会うつもりはないけど、もしかしたら。
「ねえ、色々聞かせてよ。俺がいなくなってからの家での話とか、それまでの学校のこととか」
「家は何も面白いことはないよ」
「それでもいいよ」
「・・・代わりにアイもどんな風に過ごしてきたのか教えてね?」
「何も面白いことはないけど、それでもいいならね」
両親達は相変わらず。父は厳しく、母は病弱で。でもちゃんと愛してくれた。じいやも相変わらずで。パーティの面倒臭さとかも。
学校の話は嬉々として教えてくれた。ティナとの出逢い。エイルとリーアとの出逢い。それまでの日々。
そうやって、ケイは生きてきたんだ。俺のいないところで。
「あっ、エイルとリーアはね、ギルドに所属してるんだよ!」
「え、あの年で?」
「なんでも親がギルドのお偉いさんらしいよ」
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