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誰も彼も他人で、誰一人として血の繋がりを持つ者はいなかった。それでも人がいるのが当たり前。それが俺達の日常だった。
血の繋がりよりももっと強い繋がり。
こんな俺を家族だと言って無条件に愛してくれた。受け入れてくれたのは、あそこにいた皆だけだ。
だから家が森の奥深くにあろうと、近くに店や学校がなかろうと気になったりしなかった。
あそこにいた連中が過去にしてきたことだって。俺には関係ないことだった。
「楽しそうだね」
「学校には行ってなかったけど、色んな人がいるから遊び相手には困らなかったし、勉強だって教えてもらえた」
不便なんてなかったよ。確かに今のこの環境は便利ではあるけれど。
朝も昼も夜も必ず誰か家にいて、寂しいなんて感じたこともなかったな。俺にとったら森は遊び場になってたし。
文字通り俺、田舎育ちかも。
「皆、優しいよ」
「いつか僕に会わせてくれる?」
「いつかね」
訳ありの連中ばかりだけれど。
それはまだ、言っていい時じゃないかな。
俺にとったら普通に当たる家族だけど、やっぱり世間一般的に見たらそれは普通には当てはまらない人達だからな。
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