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ねえ、ケイ。
俺はケイが思っているより綺麗な俺じゃないんだよ。
もう何も知らないなんて言えない。子どもだなんて言い訳もできなくなった。やっぱりここは、俺の居ていい場所じゃないのかもしれない。
だって俺は、早く大人になりたかったから。俺もあそこで、役に立ちたかったんだよ。
自覚はある。だけど今までの自分を否定はしない。もう受け入れてしまった。今さら変われない。変わろうとも、最早思えない。
いつかまた、ケイとさよならしないといけない時がくるかもしれない。
ここに来たのは、学ぶためでもケイに会うためでもない。その時が来たら俺は、別れを選ぶだろうな。
ケイと同じくらい、大切なものができてしまった。そのためだけに俺はここに来たんだから。
でも、だけど。
「せめて、今だけは」
片割れのそばにいさせて。
絶対に穢さないと誓うから。
やっと会えた兄弟だから。
まだ分からない先のことを考えて、今日何度目かも分からない涙を流した。
もう戻れない。こうなってしまったのは必然だ。今の俺を受け入れてくれる家族がいるから。
戻ることも、俺は望まない。
こんな俺でごめんね。
残虐な兄で、ごめん。
ごめんね、ケイ。
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