1 入学、そして再会

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初めの二人の名前に覚えはない。 だけど、後の二人、特に一番最後に聞こえた名前には嫌というほど覚えがあった。 ケイラー。 ────ケイラー・ヴィストン。 「やっぱり、いるよなあ・・・」 無意識に呟いた弱々しいそれを、誰にも拾われていないことを願う。 段々とこっちに近付いているのが分かる。やっぱり窓際だよなー!とかって話してるのが聞こえてくる。この声はたぶんアルティナ。水の五大貴族だった気がする。 いや、それよりも。 心拍数が、この上なく上がる。心臓が口から飛び出そうなくらいの緊張。 見ちゃ、ダメだ。目を向けたらダメ。 そんなの分かってる。 なのに、なんでだろう。 身体が強張って、背中に冷たい汗が流れる。思い通りにならない自分の身体は、ダメだと分かっているのに勝手に動こうとする。 「どうした?ケイ」 あっちの存在もすぐそばで止まった。 ダメ。 ダメだから。 気付いちゃ、ダメだよ。 なのに、どうしてかな。 「────アイ・・・?」 それを聞いたら、もうダメだった。 俺の目は、真っ直ぐそれを。 俺と、瓜二つの顔を捉えていた。
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