1 入学、そして再会

9/30
前へ
/138ページ
次へ
本当によかったと、改めてケイが抱きついてくる。それに確かに安心する自分がいた。 どうしてこうも片割れのそばは安心できるんだろう。 「アイがここにいるってことは、魔力が覚醒したんだよね?」 「うん。だいぶ遅かったけど、なんとか」 「よかったあ」 ケイの双子の兄としてヴィストン家に生を受けた俺は、何故か魔力の覚醒が遅かった。 どんな子供でも五歳になるまでには覚醒を終えるはずが、当時の俺は五歳を過ぎてもまだ覚醒を迎えていなくて。 魔力を持たない人間は五大貴族ヴィストン家の恥。五歳の誕生日に、俺はヴィストン家に捨てられた。 魔力が覚醒したのは、六歳になる直前だったっけな。 「また、一緒にいられる」 「うん。でも、あの家には内緒だよ?」 「分かってるよ」 俺もケイも馬鹿じゃない。 捨てられた理由も、ヴィストン家の立場だって理解できる。今はもうなんとも思ってないし、それにケイと一緒にいられる。 嫌々ここに入学して、よかったのかも。 学園(ここ)でなら、一緒にいられる。 「あ、ねえ、てかさ」 「ん?」 「時間、大丈夫なの?」 「・・・」
/138ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1157人が本棚に入れています
本棚に追加