1157人が本棚に入れています
本棚に追加
本当によかったと、改めてケイが抱きついてくる。それに確かに安心する自分がいた。
どうしてこうも片割れのそばは安心できるんだろう。
「アイがここにいるってことは、魔力が覚醒したんだよね?」
「うん。だいぶ遅かったけど、なんとか」
「よかったあ」
ケイの双子の兄としてヴィストン家に生を受けた俺は、何故か魔力の覚醒が遅かった。
どんな子供でも五歳になるまでには覚醒を終えるはずが、当時の俺は五歳を過ぎてもまだ覚醒を迎えていなくて。
魔力を持たない人間は五大貴族ヴィストン家の恥。五歳の誕生日に、俺はヴィストン家に捨てられた。
魔力が覚醒したのは、六歳になる直前だったっけな。
「また、一緒にいられる」
「うん。でも、あの家には内緒だよ?」
「分かってるよ」
俺もケイも馬鹿じゃない。
捨てられた理由も、ヴィストン家の立場だって理解できる。今はもうなんとも思ってないし、それにケイと一緒にいられる。
嫌々ここに入学して、よかったのかも。
学園(ここ)でなら、一緒にいられる。
「あ、ねえ、てかさ」
「ん?」
「時間、大丈夫なの?」
「・・・」
最初のコメントを投稿しよう!