チョコレート

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 けれど、その「療育」に息子を連れて行くのは私なのだ。  夫は、昼間仕事に行く。  専業主婦の私は、家のことと息子の世話が役目だから、そうして当然と、夫も周囲も考えているようだった。  療育の施設は、親子で通園する。それが終わったら、息子と家に帰る。  こだわりの強い息子は、自分の思い通りにならないと、泣き叫んだ。  その声の大きさは半端ではなく、私はいつ虐待をしていると通報されるのか、びくびくしている。  特に、チョコレートへの拘りは強い。実家に息子を預けて出かけていた時に、母が与えてしまったのがきっかけで、息子のチョコレートの拘りは、始まった。 『あまり与えないでくださいね』  と、療育施設の先生にも、相談支援の先生にも言われていたけれど、チョコレートを与えていれば、息子は大人しかった。
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