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泣くわけでもなく、騒ぐわけでもなく、黙々とチョコレートを食べてくれる。 その時間も軽く一時間ぐらいはあるから、私は毎日チョコレートを息子に与えていた。
特に休日となると、数枚板チョコを与えている。そうしないと、私の気持ちが落ち着かないのだ。
「お、上手だね」
姉特製の、段ボールで作ったらしい、息子の背丈にぴったりの机の上に広告用紙を敷いて、姉は息子にニンジンの皮を剥かせていた。
包丁ではなくてピーラーを使っているけれど、その手元は危うい。
けれど、姉は、視線は息子の手元に置きつつも、息子に辞めさせることはしなかった。
息子はゆっくりだけど、丁寧に皮を剥いている。
「できた!」
息子はニンジンを持って、得意満面の笑顔を見せた。
「じゃあ、次はジャガイモね」
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