チョコレート

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「姉さん、手伝おうか?」  自分だけ何もせずにいるのも心地悪くて、私は姉に言った。 「あ、じゃあニンジン切ってくれる?」  姉がそう返事をした時である。 「だめ!」  息子が叫んだ。 「だめなの!」  その声質から、いつもの癇癪を起し始めたことがわかる。  こうなると、息子は自分の思いが叶えられるまで泣き叫び続けるのだ。 「じゃあ、どっちをやるの?」  身構えた私と違って、姉は淡々とした口調で、息子に目線を合わせて聞いた。 「ジャガイモの皮を剥く?」  ジャガイモを見せながら言って、 「ニンジンを切るの?」  ニンジンを指さしながら切る真似をする。 「どっちか一つ」  そして、人差し指を一本立てて、息子を見ながら言った。
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