チョコレート

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 姉に手伝ってもらいながらニンジンを切った息子が、不思議そうに首を傾げながら聞く。 「上手だってこと。お母さんのカレーは、とても美味しいでしょう?」 「うん」  息子は、姉の言葉に満面の笑みを浮かべて頷いた。 「昔から、お母さんは料理が上手なんだよ。あ、そうだ。このカレーに、チョコ入れていい?」 「入れる?」 「さっきの。もっと美味しくなるよ」 「うん、いいよ」  息子は、こくんと頷く。 「いい子ね」  姉は、よしよしと息子の頭を撫でた。  昔。姉は、私にも同じようにしてくれた。 『いい子ね』  と、笑いながら。  それと同じ気持ちを、今でも持っていてくれるのだろうか。
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