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「母さんは?」
「知らない。私達が来た時は、いなかったわ」
私の返事に、姉は「ふーん」と興味なさげに頷いた。
本当は、母には今日来ることは知らせてある。
だけど、母は「その時間はいないかもしれないわ」と私に携帯越しに返事をした。
そうして、実際いなかった。
息子の障害がわかってからは、母の態度はずっとこんな感じだ。
姉との会話は途切れ、姉は冷蔵庫をぱかっと開けた。
そこから、ニンジン、ジャガイモ、タマネギを取り出していく。
そして、取り出したものをテーブルに並べた。
「なにしているの?」
それを見て、息子はチョコレートから口を離し、姉に尋ねた。
「カレーを作る準備」
それに、姉は短く答えた。
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