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「バカ」と言われてもヒトそれぞれ好みというものがあるし、それ以前に演じていただけの俳優には何の罪もないわけで。
苦手だ、キャラじゃない、と言いつつもしっかりキャラクター設定までつかんで先ほどの恋愛映画を観ていた彩香の身も蓋もない批評っぷりに、親友の頬がややひきつった。
「そ、そう。で……彩香のキャラじゃないってのはどこに繋がるの?」
「だからそれは――」
言いかけて、はたと口をつぐんでしまった。
『どこに』と言われても――――。
本来モテるはずのない人種がああもたやすくハッピーエンドになる甘い設定が定石となっている『恋愛モノ』が気に食わないと言っていたつもりであり――
さらにそんな歪んだ感情がどこに起因するのかというと……。
「『それは』?」
やんわりと続きをせかすように復唱する柚葉。
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