1.○○○○に遭遇してしまった日

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 そんな彼女をちろりと見上げ、再度しばしの沈黙が訪れる。 「……それは――」 「?」  レモンシャーベットを口元に置いたまま、きょとんと見つめ返す柚葉の長い黒髪がつややかに風に流れた。  やがて―― 「……やっぱ、わかんないよなぁ」  『柚葉には』という後に続くはずだった言葉を呑み込んで、思わずため息。 「今さら、だけどね……」
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