1.○○○○に遭遇してしまった日

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「え? え、何が?」  一方的に自己完結されて困るのは柚葉である。  が、そのあわてようを見て取り、やっぱりな……とどこかほっとしつつ苦笑してしまった。  これだから参ってしまうのだ、この親友には。  自身の優美な容姿をひけらかすことなく、嫌味っぽく卑屈めいた物言いをすることもない。  それどころかそんな外見の良し悪しなど初めから無関心、というフシさえある。  自分が――こんな自分が、こんなふうに上手くこの親友と付き合い続けていられるのは、ひとえに彼女の清らかさゆえにかもしれない。  心の底からそう思う。  出会いからなんだかんだで5年目に突入する仲である。 「いーの、いーの! ずっとそのままでいてよ」  眉間にシワを寄せてウンウンうなずきながら、ぽんぽんっと彼女の右肩を叩く。  その表情と仕草に妙に年寄りくささを感じて、柚葉は黒目がちの瞳を細めて小さく噴き出した。 「変な彩香」  そうして彼女は、綺麗に笑う――。
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