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昔から、事あるごとに他の人間と比べられたものだった。
幼少のころは姉と。
――『あらー花織ちゃんったら何て可愛いのぉー。美人さんになるわよー』
――『まぁー彩香ちゃんってば本当に元気いっぱいねー。とっても元気ー』
元気。結構ではないか。どうして2回言ったんだろう?
――と当時は純粋に疑問だったが、他に自分を形容できる良さげな言葉が見当たらなかったのだろう、と今なら理解できる。
それでも親戚のおじちゃんおばちゃん連中が会う度そうして平和的に(?)刷り込んでくれたおかげで、物心ついたころには「なるほど……」と己の見てくれというものに対してあきらめとある種の覚悟――のようなものがすでに備わっていたような気がする。
有難いことだと思う。
いや、ヒネてなどいない。
己を知らないイタいタイプの勘違い人間に育たずに済んだと思えば本当に感謝の一言に尽きる。
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