1.○○○○に遭遇してしまった日

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 小さな確信をおそるおそる口にする彩香に、ペロリと小さく舌を出して柚葉は可愛らしく微笑んだ。 「ううん全然! うっはー……綺麗だなあ」  何もしなくても綺麗なのに、こっこれは……とあらためてまじまじと見入ってしまう。  男殺しという罪名か何かですでに犯罪の域に達しているレベルではないだろうか。 「彩香もたまにはメイクしてみない?」 「――は?」  ぼーっと見とれている隙に何か今、聞き捨てならないとんでもないことをこの親友は言わなかったか? 「お休みだし、ほら。ちょっとだけ、ね?」  ねっ?って、いや待て待て……と思わず目が点になる彩香をよそに、今持ってるよーと言わんばかりに柚葉は大きめのトートバッグをゴソゴソし始めた。
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