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「いっ、いや! いい! したことないしっ!」
親友の不穏な動きを可及的速やかに封じねば、と汗だくになる思いで詰め寄り、取り押さえにかかる。
「したげるよー。彩香ぜったい可愛いよ」
「ムリムリムリムリ! 無駄無駄無駄っ! 歩く公害になるからっ」
お願いヤメて、化粧品だってもったいないし!と心の声もさらに悲鳴に近いものとなった。
「なにそれー。彩香は卑下しすぎだってば」
困り眉でわずかだが怒ったように柚葉は言う。
あヤバ、言いすぎたか。
面倒くさがられる反応しちゃったな、という自覚も一応あった。
――が。
どうせメイクなんかしたって……と思う人種の気持ちは、たぶんこの親友にはわからない。
「と、とにかく、あたしはいいからっ」
何も変わり映えしないどころか、これ以上目も当てられない状態にでもなったら……と考えるだけで恐ろしい。
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