1.○○○○に遭遇してしまった日

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「えー……」  かなり不満たらたらのようだが何とか思いとどまらせ、コスメポーチを元どおりトートバッグの中に仕舞わせることに成功する。 (……どうせ美人さんにゃ、わからんよ)  気付かれないほど薄く短いため息がこぼれた。  気を取り直して二段目のストロベリーアイスを攻略し終え、彩香はもう一度整った横顔を見上げた。 「でもホントに綺麗……。明日からそれで学校行っちゃいなよ」 「ええ? ムリ。校則違反になるよ」  くすくすと持ち前の柔和な笑みが返ってくる。  表情にはもう少しも怒りの色が残っていない。 「ちょっとくらいなっちゃってもいいじゃん。ていうか、してるコいるし」
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