1.○○○○に遭遇してしまった日

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 自分たちが通っているのは細かい校則でギチギチに生徒を縛る高校ではない。  むしろかなり緩いほうだ。一応、有名進学校と位置付けられている私立高校にしては。  が、さすがに制服の大改造やピアス、ド派手な髪型や化粧などは当然普通に禁止だ。  そして禁止されても頑張って自己主張(オシャレ)してしまう一般的な少年少女も、名門校といえどやはり普通に生息する。  とはいえ、真面目な柚葉がこのテの良からぬ勧めに乗ってくるわけがないことは百も承知だった。  それでも推しているのは、彼女が違反して罰されることを望んで、ということでももちろんない。   目的はただ一つ。 「そのカオで沖田くんにコクっちゃえ! さすがのモテ男も瞬殺だよきっと。おそらく。いや絶対」  今年こそは絶対絶対、恩返しも兼ねて我が親友を幸せに導きたいのだ。
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