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ちょうど一年前の入学式で沖田侑希が新入生代表として登壇し挨拶した時。
あちこちからどよめきと女子の黄色い歓声が上がったことにまず驚いたが、それ以上に――
柚葉のあの時の表情が忘れられないのだ。
中学一年で知り合って以来ずっと一緒にいるが、あんな……顔を赤らめ見開いた目を潤ませて言葉なく男子の姿に釘付けになる姿などお目にかかったことがない。
これがフォーリンラブかっ、キターッ、ついに大親友のために一肌脱ぐときが来たか!
と、つい喜びに打ち震えてしまったのを憶えている。
こんな奥ゆかしい大和撫子、放っといたら実るはずの恋も絶対実らない。
何が何でも成就させたるっ!と。
思えばそこから「大親友を世界一幸せに」計画がスタートしたのだった。
不運にもクラスは別だったため、これは何とかせねば!
せめて放課後だけは同じ空間に放り込まねば!
――と、尻込みする柚葉を引きずるように(文字どおり引きずって)モテ男と同じ陸上部の門を叩いたのである。
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