1.○○○○に遭遇してしまった日

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 どちらかというと運動と縁の薄い柚葉ではあったが――  彼目当ての入部希望者が山のようにいたなか、生来のまじめさと何ごとにもよく気がつく細かい仕事ぶりを買われ、一学年で一人だけというマネージャーのポジションを難なく獲得できたことを考えると、やはりあの時の自分エライ!と思ってしまう。  練習が予想外にハードすぎて、ただモテ男目当てだけで入った女子たちはあっという間にほとんど脱落してしまったのは言うまでもなく。  彩香自身もともと体を動かすことは好きだったしチビだけど跳ぶことの楽しさも知り得た。  残った部員同士の関係もなかなか良好で、現状にはかなり満足している。  ぎこちないながら柚葉も、部員同士としては()の君となんとか言葉を交わせているようだし。 (これで進級とともに同じクラスになって、もっと欲を言えば晴れて恋人同士になってくれたら、もう思い残すことはないのに……。嗚呼(ああ)あたしは柚葉の母親か? ばあちゃんか?)
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