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恋愛映画にブツクサ言ってたのは誰だ?と問いたくなるような力説ぶりに、柚葉もぱちくりと瞬きをしている。
「恋愛モノ、嫌いなんじゃ……?」
「それはそれっ!」
単なる野次馬根性でこんな後押しをしているのではない。
本当に幸せになってほしいのだ、彼女には。
それは心からの願いだ。願いでもあり、そして恩返しなのだ。
「とにかく! 今年こそ、今年こそ! 一歩前へ! その根拠も説得力もない『ムリ』と『自信ない』、聞き飽きたし!」
それだけ素晴らしい見てくれを持ちながらなぜ動かない!?
彩香にとってはそこが最も不思議で不可解だった。
コンプレックスの塊の自分がもし彼女の立場にあったなら……と、あり得ないがおこがましいが考えるならば、やはりある程度は「自信」めいたものに守られながら一歩踏み出しているのではないだろうか、と思えるのだ。
本当に想像するしかできない次元のことではあるのだが。
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