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「あの……さ、悪いけど」
考えを巡らせるより早く、顔のすぐ横から若い男の声がした。
(え)
「動けそうなら、早く退いてみてくんねーかな?」
はっと気付くと、なんとしっかり人間さまの腹の上に倒れ込んでいた。
「そこらへんに乗っかられてると、どうもこう……ムズムズと――」
「すっ、すみませんっ!!」
「ぐ……ふっ」
あわてて退こうとしてどこかに変に体重をかけてしまったらしく、再び今度は短い呻き声が聞こえた。
「あ、ごごごごめんなさいっ! 大丈夫ですかっ!?」
「……ってー……」
よほど当たりどころが悪かったのか片腕で顔面を覆ったままのその男性は、未だ芝生に仰向けに寝そべったまま、上体を起こそうとする気配もない。
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