1.○○○○に遭遇してしまった日

35/47
前へ
/273ページ
次へ
  「あ……あの――」  ここは救急車か警察か!?と思わず柚葉と視線を合わせ、スマホに指を伸ばしかけた瞬間。 「あー……びっ………………くりした……」  本気で安堵するような、深く長い吐息の末に。 「いきなり何かに降ってこられて、今日で人生終わったかと思った……」  いやいや謝罪もリベンジもまだだ死ぬわけにはイカン……などとブツブツ言いながら、男はようやく億劫そうに上半身を起こす。 (うわ……)  動きを追っていた彩香の目が、大きく瞠られた。  どこのモデルだ?と一瞬思ってしまったほど細身の長身。  こうして座っている状態でもそう思えるほど。
/273ページ

最初のコメントを投稿しよう!

220人が本棚に入れています
本棚に追加