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「ドンマイ、西野ちゃーん」
「次はいけるいけるー」
スタート地点からの先輩部員の励ましに「うっ」と勢いよく半身を起こしつつ、しまった!と感じる。
そんなに落ち込んでいるように見えてしまったか。
しかもおもいきり邪魔になっている。
跳んだらさっさと退く、が鉄則だったのに。
「はいっ、すいませんっ……ととと」
その反動と風でふいに全開になる額に、微かに眉をひそめる。
伏し目がちに前髪を定位置へと下ろしながら、彩香は今度こそ急ぎすぎず立ち上がった。
16歳、早春――――
壁は、まだまだ高い。
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