1.○○○○に遭遇してしまった日

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「ほ、ホントにすみません……! 前ちゃんと見てなくて、あの……っ」 「や。いいって。こんなトコで横になってた俺も悪い」  染めても加工(アレンジ)してもいなさそうなまっさらで黒々とした短髪を大雑把にはたき、()きほぐして、事もなげに青年は言うが。  無意識なのだろうか……。  先ほどからずっと左手は腹部を擦っているように見える。 「お、おケガとか……だ、大丈夫でしょうか?」  まともに上に乗っかってしまっていた気がする。  退くときにヘンな呻き声も聞こえてたような……。  ど、どどどどうしよう、内臓とか無事だろうか? これはひょっとしてニュースものか?  裁判沙汰か?慰謝料とか!?  ――などなど、もはや悪い想定しか出てこない。
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