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(……でも)
おもむろに目線を上げ、挑むように青年を見据える。
だからと言って初対面の相手に好きなだけ笑いのタネにされる必要も義理もないわけで。
ケガがなかったのなら失礼します、そう言って立ち去ればいい。
それで終わりだ。
いや、こんな失礼な相手にはいっそ無言でもいいかも――――と取るべき行動を即決して彩香が立ち上がりかけた、その時。
「ごめ……っ、悪い悪い。いや、スゲーと思ってさ」
未だ収まりきらない笑いを引きずったまま、青年は明るく謝ってみせた。
こちらの衝撃や怒りはまったく意に介していないらしい。
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