220人が本棚に入れています
本棚に追加
思わず赤面し、自身よりアイスをしっかり守った左手にこの時ばかりは舌打ちしたい気分になった。
「しかも、ホレ」
突然、言いながら青年が彩香の顔に手を伸ばしてくる。
「え……な、なに……」
「ついてるし」
身構える彩香にはお構いなしに、右頬下に付いていたらしいバニラを人差し指で掬い取ってみせ、そして――
そして。
あろうことか、彼はそのままその指をぱくりと自らの口へと運んだ。
「――」
「うん。美味い」
にっ、と整った眉と口の端が満足げに持ち上げられた。
「……………………」
最初のコメントを投稿しよう!