染まるあなたへ

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「ここを通るのも、これが最後になるな」 薄桃色に染まるブールバールを歩きながら、あなたはぽつりと呟いた。 私は黙って、その隣を歩く。 様々な思いが私の中で攪拌されて、ドロドロの塊になる。 あなたが纏っているのは、黒。 こんなすがすがしい晴れの日に、あなたはなぜか黒を纏っていた。 辺り一面に、花びらが舞い踊る。 それを眺めると、胸が痛くてたまらないのだ。 桜が咲かないように、何度願ったかわからない。 あなたの桜が咲けば、あなたは去って行くから。 それが分かっていて、応援して欲しいだなんて。 最後まで本当に身勝手な人。 そんな風に思ってしまう私は、あなたを愛する資格がなかったのかもしれない。
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