麻薬

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瞬間 1面水色だった世界が変わった。 足元が徐々に明るくなり、眼下には白く清潔な部屋とベット。 その周りには沢山の人がいて ベットに突っ伏して肩を震わせる ベットに向かって涙を流して 口々に何かを話している。 ベットの中央に向かって。 真っ白な布団から伸びた 血管すら透けてしまっている手を握りしめる人 そこには瞳を閉じ、幾つものコードが巻き付かれている青白い顔をした少女が横たわっていた。 枕元には沢山のチョコレートが積み重ねられていて… その全てが彼女が好んで食べていたものだった。 彼女の中に色々な感情が押し寄せてくる。 吹き飛ばされてしまうのではないかと思う程の。 激しく 大きな、大きな波。 彼女に与えられていた愛情も 彼女に向けられていた優しい視線も笑顔も 彼女を愛するが故に紡がれていた言葉も 彼女の中で映像の様に渦巻く。
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