第2章 犬も食わない

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そして、普段は割とキャピキャピしている彼女も、 仕事は疎かにするタイプではない。 「その代わり土曜日に、この前、教えてもらったお弁当持って 彼の所に行ってみます」 自ら、そう切り出してきた彼女に、私は、思わず手伝いを申し出ようとして ふと昨夜の彼の言葉が脳裏に蘇り、言葉を呑み込んだ。 彼らの事は、もう二人に任せたほうがいいと思います。 だからという訳でもないが、 私の言葉が声になるよりも早く彼女の声が促してくる。 「夏海さん、今日は、少し早くオフィスに戻ったほうがいいですよね」 そして、それに押されるように頷き返した私は、そのまま目の前の 塩焼きそばを口に運んだのだった。
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