第2章 犬も食わない

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「何かあった?」 それは、翌日の昼休みのこと。 ずっとすれ違っていた千奈美と久しぶりにランチに出て、 いきなり言われた。 そしていつもながら、なんとも鋭い。 お蔭で、私の口元には淡く苦笑が浮かんできた。 「もう、千奈美には本当に敵わない」 だから私は、彼とのケンカの事を簡単に話し始める。 「でも、ちょっと大人げないと思うんだよね」 短く気持ちを口にした私は、昨夜も残業をして九時過ぎに帰宅すると ダイニングに夕飯の支度されてあり、今日の朝一番の電車で出る彼は 既にベッドに入っていたこと。 そして、もちろん今朝も、私が起床する前に既に出張に出ていたことを ちょっと愚痴めいた口調で話していく。
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