第2章 犬も食わない

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その上、 「何よりさ、あれだけ夏海命のカンちゃんだもん。 きっと、寂しかったんだと思うよ。 まぁ、それを上手く表せないっていうのもカンちゃんらしいし、 つい自分より相手を優先しちゃうのも、夏海らしいけどね」 見てもいない彼の様子までズバリと読まれ、もうグウの音も出ない。 そして、その日。 結婚以来、初めて一人となるマンションに戻り、 寝室に入って、思わず彼の枕に視線を落とした。 確かに、この数週間、私の頭の中の半分は安奈ちゃんたちの事で 占められていたと思う。 だからといって、彼を疎かに扱ったつもりはない。 だが思い返すと、やっぱり週末を重ねる毎に、彼の笑顔が減っていたの かもしれない。
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