第2章 犬も食わない

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そして同時に、彼の枕を見詰める私の目に 昨夜、私の方に背を向け胎児のように丸まって眠っていた彼の姿が 浮かんできた。 もちろん、彼も子供ではないのだから、一人の時を過ごせないわけではない。 しかしそれでも、結婚をした時に私は、密かに誓った事がある。 家庭や家族と縁の薄かった彼には、満足がいくまで甘えさせてあげよう。 そして十分心が満たされた時、彼に、父親として子供を抱かせてあげたい。 だが、恐らく彼の心は、私の想像以上に、はるかに「愛」に飢えているの かもしれない。
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