第2章 犬も食わない

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だが、もちろんこれは、彼女が惚気ようというわけではなく、 料理は、女性だけがするものじゃないというアピールの一端。 しかし、 「えっ?! お前、こんな事も出来んの?」 「いや、その、前に教わったことがあって 彼女が、また食べたいって言うので……」 そして、ちょっと口篭る僕の目の前で、大きく太巻きを頬張った彼は、 「へぇ、美味いじゃん。お前、すげぇな。俺、こんなん絶対無理だわ」 彼女の真意に気付いてかどうか、彼は、いつもの調子でそれを軽くいなす。 だが、この程度では彼女もめげない。 実際、翌週末は、桜の開花も近いということで、 またしても安奈さんの所に弁当作りを教えに出かけていった。
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